日常の縁起物から生まれた、フクロウ
今回ご紹介するのは、柔らかなパステルで描かれた愛らしい「フクロウ」です。
この作品が生まれるきっかけとなったのは、作家のご自宅にある陶器製のフクロウの置物だといいます。
それは元々、印鑑入れとして使われていた頂き物。
「フクロウ」は「不苦労」とも読めることから、縁起物として玄関に飾られていたそうです。
「自分で描いたフクロウを飾れば、もっと良いことがあるかもしれない」。
そんなささやかな願いが、創作の原動力となりました。
日常に溶け込んでいた小さな存在が、アート作品として
新たな命を吹き込まれることになったのです。
1. パステルで追求する、ふっくらとした立体感
画材にはパステルが選ばれました。
作家が特にこだわったのは、平面である絵画の中に、
いかに立体感を表現するかという点です。
フクロウ特有の丸みを帯びたフォルム、
特に吸い込まれそうな大きな目やお腹のふくらみを、
パステルの優しい色彩の濃淡や重ね具合で表現することに注力しました。
制作過程で最も試行錯誤したのは、お腹の丸みと、
そこに描かれる複雑な模様だったと作家は語ります。
パステルを塗り重ね、丁寧にぼかしながら、
フクロウの柔らかな羽毛の質感と、ふっくらとした存在感を追求しました。
2. 過去の経験が導いた、新たな表現
この立体感や質感の表現には、以前に描いた犬の作品での経験が活かされています。
犬の毛並みを一本一本描いた際の観察眼や描写技術が、
今回のフクロウの羽の表現にも応用されているのです。
過去の創作活動で得た学びが、着実に作家の糧となり、
新しい作品世界へと繋がっていることがうかがえます。
3. 絵画だからこそ伝わる、フクロウの魅力
「実物とは違った、絵という表現だからこそ伝わる
フクロウの可愛らしさを感じてほしい」と作家は願っています。
写真や置物とは異なる、パステル画ならではの温かみ、
作家の解釈を通して描かれたフクロウのユニークな表情。
それらが鑑賞者の心にそっと寄り添い、穏やかな気持ちをもたらしてくれることでしょう。
4. 未来への展望
今後の創作活動について尋ねると、「旅先で出会った風景を描けるようになりたい。
そして、以前描いた犬を、今度は違う角度から捉えてみたい」と意欲を見せてくれました。
身近なモチーフへの愛情から生まれた今回の「フクロウ」は、作家にとって、さらなる表現への挑戦心をかき立てる存在となったようです。日常に潜む美しさや、動物たちの愛らしさを見つめる作家の温かい視線が、今後の作品にも注がれていくことでしょう。
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